昨日、偏差値には注意が必要だと思います、という記事を上げました。
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それに関連して、もう一つ書いておきたいことがあります。
それが
子どもには偏差値というものを意識させ過ぎない
ということです。私は、
偏差値は大人が使えばいい指標のひとつ
だと思っています。偏差値はランキングではないので、
上がった下がったに一喜一憂しても仕方ない
と思うに至ったからです。上の子の時も薄々思ってはいましたが、今ははっきりそう思います。
偏差値が母集団によっても意味合いが異なることは何度も書いていますが、
今日はもう一つ、
平均点、受験者の得点のバラつき、その時の問題によって偏差値の数値が変わる
ということに触れておきたいです。
偏差値の元となる標準偏差の参考サイトを貼っておきます。
まず当然ですが、全員が100点を取った場合、全員が偏差値50になります。
このことから、
平均点が高めでバラつきが少ないと、偏差値は全体的に低めに出る
といえます。
なので毎月行われるような一般模試では、その回ごとの平均点やバラつきを考慮しないと、
うっかり
今回は偏差値が下がった!(上がった!)
思ったよりも成績が伸びない!
といった
数値のトリックに騙されて踊らされる
という事態になりえます。それならむしろ過去の模試との順位を比較した方が良いです。
次に、4教科の偏差値を見る場合の注意点です。
模試は回によって、科目間の平均点の違いが出たりします。
例えば
算数は平均点が50点で、バラつきが大きかった(算数は偏差値の上下幅が大)
国語は記述が難しいが、それ以外が易しくて平均点は高かった(上位のみ高偏差値)
社会は出題が特定部分に集中し、得手不得手が明確に出た(個人間バラつき大)
理科は難易度が高く、平均点が低く出た(偏差値は変わらないが得点が低い)
という回があったとします。そして
4教科の偏差値は各科目の偏差値の合計割る4ではなく、
4教科の総得点から算出した標準偏差によって決まるため、
4教科の偏差値は科目ごとの得点バラつきに左右されてしまう
ということが忘れられがちです。たとえば
うちの子は理社が得意だから、算国が偏差値55でも4教科で60だから
偏差値60の学校が実力相応校だと思ったら、とても危ない
といえます。
4教科の偏差値だけで併願校を選ぼうとしていると、
極めて高いリスクを取っていることに保護者が気づいていない
という現象が発生しえます。これも忘れられがちですが、
模試と違って本番の入試には傾斜配点や難易度調整
があります。算国は100点満点で理社は50点満点だったり、
理社の問題難易度が高め・低めにされているという意味です。
※この辺の話は後日詳しく書きます。
科目間や単元での得手不得手に大きな差がある(つまり苦手分野が残っている)という子は、
4教科偏差値や算数偏差値を重視していると、志望校選びを間違える可能性があります。
上の子は算数偏差値が、他の一番低い偏差値を取った科目の2倍になることもあった
というくらい、
算数が概ね強く、他の科目は問題次第という特性
がありました。ですので、それを踏まえた志望校選びを徹底し、過去問も何校・何年分も分析して、
子どもが通いたいと思える中で、わが子の個性を受け容れそうな(問題を出す)学校
を入念に選びました。
話がそれましたが、模試の偏差値はそれくらい水物で、しかも近年は
偏差値通りの結果に落ち着かず異変が起きている
とも言われていますので、
子どもには偏差値を意識させてもマイナスになる恐れがある
親も、偏差値の算出方法や母集団・問題傾向を精査しないと数値に振り回される
という点で、偏差値はやや冷ややかな目で眺めた方がいいと思うくらいです。
逆に受験業界としては
偏差値はこれ以上ない勧誘ツール
ですから、
あと偏差値を3上げて、志望校を上げましょう
とか
男子はここからまだ伸びる可能性がある(と全員に言う)
とか、
そうならなくても責任を負わなくていい話に、偏差値を使う
というケースがあります。全部が全部ではないかもしれませんが、
それに近い話ばかり見かける
ということは、あながち的外れでもないのではないかと思います。
模試の偏差値の見方はそれくらい注意が必要なので、毎回一喜一憂しても仕方ないと思います。
むしろ下がった時は、
正答率や失点分野を見て、残っている穴を見つける
が正しいアプローチだと思います。但し6年生ともなると、時間がないので焦りますが、
解き直しで類題を集中的にやっても、学力としては身につきにくい
ということを忘れてはいけないと思います。解き方を確認してすぐ類題を解くのではなく、
どこの理解が抜けているから、穴のままになっているのか
を分析するのが大事だという意味です。これをやらずに弱点克服はあり得ません。
特に算数は基礎からの積み上げになっているので、
基礎問題と解法がセットで身についていないのか
問題を読み解く力がなくて解法が出てきづらいのか
を見極める必要があります。前者なら4年生まで戻って、それこそ”6年生の脳”なら
今こそ基礎がしっかり入る可能性が高いです。基礎に戻ることは手遅れでなく近道です。
後者なら、その解法が必要な問題の本質(数の性質か、場合の数か、図形か、速さかなど)を
よく見極めて
その分野の問題難易度を上げるパターンを、易しい類題から難しくしていって練習する
という学習が効くと思います。我が家は
塾技100などを使って基礎から応用をなぞり、
最高水準問題集から抜き出してきて体系を完成させる
という方法で穴を埋めました。
ということで親目線の話としては、
一般模試では偏差値は指標。数値は「それがどう算出されたか」を知れば十分
むしろ見るべきものは、
全体の難易度(正答率)
個人の難易度(個人正答率=得手不得手)
得失点の仕方(正解したのに問題が汚れてない、問題理解が不十分で解き筋が多い)
といった、テストであぶり出される本当の学習定着力である
と私は思っています。
大人でさえそれくらい注意が必要なので、子どもには偏差値など何の意味もないくらいです。
親にほめられる(怒られる)
自己承認欲求が満たされる
といったくらいのものじゃないかなと思います。ましてや
いつもは偏差値50くらいだけど今回は55も取れた!本当はこれくらいできるんだ
と思ったりしたら、自己肯定感よりも油断が心配になります。苦手だった問題がわかった、
といった具体的な根拠を伴うなら別ですが、結果の数値だけで満足するのは危険です。
ある瞬間の結果に過ぎない偏差値(模試の後だから所詮過去のもの)は、
保護者が冷徹に観ておけば良いので、子どもには
前回落としていたこの単元が取れたね
記述で減点されたポイント(主語抜け、理由抜けなど)が改善されて得点できたね
といった具体的なポイントを話す方が、入試本番までに少しでも学力が伸びると思います。
逆に、偏差値の上下を理由にほめたり注意したりすると、子どもは学力でなく偏差値に囚われます。
総得点を上げるため、手っ取り早く暗記に走る
コツコツやらない(模試の前だけ必死に対策する)
といった得点稼ぎに走ると、6年生の夏前くらいから成績は下がりかねません。
低学年の偏差値はあてにならないからなぁ~😅と常々思っていますが、
よくよく考えたら高学年も指標でしかないなぁと思います。
これもいずれ記事に書きますが、
持ち偏差値55なら、80%偏差値55の学校は安全だ
も危ないケースがあります。既に4教科偏差値マジックと傾斜配点は上で触れましたが、
受験者数、その受験回の募集人数と合格者数、問題の相性
によって騙されることがあるということです。
受験者数(倍率)が上がれば、たいていは合格率は下がります。
上の子の時は、志望校すべて出願後も倍率をウェブでチェックしていました。
募集人数の割りに合格者数が多い・少ないによっても、合否に影響します。
そして問題の相性・・・算数のマイナス8点を挽回するために、
残り3教科で8点を稼ぐことの難しさ・・・。
こういったことすべてが作用して合否は決まります。
穴があるほど読みづらくなるのですから、偏差値アップより穴を一つでもつぶすこと、
その学校の出題傾向から、絶対につぶしておきたい穴を優先的につぶすこと。
そういった視点が、親には必要と思います。子どもは偏差値よりも目の前の学習を!😉
※親御さんの中にはランキングが好きで、偏差値が好き😍という人も見かけますが、
趣味の範囲ならいいのかもしれないですね・・・🤔